父と暮せば

脚本 井上ひさし

1994年こまつ座にて初演、第2回読売演劇大賞の優秀作品賞を受賞。
世界各国で上演された後、現在に至るまで各地で上演されている。
1998年新潮社より刊行され、世界各国の言語に翻訳出版もされている。
2004年には映画化、映画はブルーリボン賞を受賞した。



あらすじ

「うちはしあわせになってはいけんのじゃ。じゃけえもうなんもいわんでつかあさい」

物語の舞台は戦後の広島。
戦火を生き延びた美津江は、図書館で働きながら、土地に伝わる昔話を語り継いでいた。
戦時中の資料を求めて図書館にやってくる青年に恋心を寄せつつも、
「自分が幸せになってはいけない」
と気持ちを押し込める美津江。
雷に怯え、原爆で負った左腕の傷みが、時々彼女を襲う。

苦悩する美津江に、時に優しく、時に熱を込めて語りかけるのは、父・竹造。
町は戦火に焼かれようとも、人の命は奪われようとも、大事な何かが、確かに残っていた。

「おまいは生きとる」

戦争とは。親子とは。そして、生きるとは――。
戦争の時代を生きた親子と、深い愛の物語。

 

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